鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニア(脱腸)ってどんな病気?

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)は、おなかの中にある小腸や大腸、女の子の場合、卵巣が鼠径部(足の付け根)に飛び出して腫れてくる病気で、別名:脱腸(だっちょう)とも呼ばれています。

胎生期に精巣が鼠径部に降りてくる時に腹膜の一部が鞘のように飛び出します。
これを(腹膜鞘状突起―ふくまくしょうじょうとっき)といいます。
通常、精巣が陰嚢内に降りると自然に閉じますが、それが閉じないままの状態になると、そこに腸が脱出して鼠径ヘルニアが起こります。
女の子の場合、精巣は存在しませんが、同じような現象が起こります。

男の子の場合、陰嚢まで膨らむことがあり、女の子の場合、ヘルニアの出口付近に卵巣があるため、腸と一緒に卵巣が出ることがあります。

鼠径ヘルニアは片側だけのことが多いですが、約1割に両側に起こります。
発生率は5%程度で、女の子よりも男の子のほうが起こりやすいです。

鼠径ヘルニア(脱腸)の症状

小児の股や男の子の場合、陰嚢(いんのう)が膨らみます。
通常、触ると軟らかくて、指で押すと引っ込んだり、膨らんだ部分が小さくなったりします。
このように、触って軟らかく押すと膨らみがなくなる状態のときは痛みはありません。

しかし、膨らみがおなかの中に戻らなくなる嵌頓(かんとん)ヘルニアになると激しい痛みを伴います。
嵌頓(かんとん)ヘルニアは、1歳前の乳児に起きやすく、飛び出した腸が締め付けられて血流が悪くなり、むくんで硬くなり、更に進むと腸は壊死してしまいます。
嵌頓(かんとん)ヘルニアになると、痛みが起こるために、不機嫌になったり嘔吐などの症状が現われます。

鼠径ヘルニア(脱腸)の治療法

生後6ヶ月くらいまでは、約30%程度は自然に治ることがあるので経過をみる事がありますが、1歳を過ぎるとほとんど自然に治ることがないため、鼠径ヘルニアと診断されたら基本的に手術による治療が必要となります。

治療の基本は手術です。
小児の手術の中ではもっとも頻度が高い手術で、全身麻酔にて行なわれます。
手術は、高位結紮術(こういけっさつじゅつ)と呼ばれる方法で、ヘルニアの出口を糸でくくり、腸が出ないようにする方法です。
手術時間は30分程度、傷口も1〜2cm程度で傷跡もほとんど目立ちません。